【イエプロ2021掲載インタビュー記事】日々の記憶が、家にあらわれるように。
「イエプロ2021」に、当社代表の神野和彦のインタビュー記事が掲載されました。
記事では、神野が建築に携わるルーツや、家づくりにおいて大切にしていることなど、家づくりへの想いを語っています。
ぜひご覧ください。
古建築好きは今も変わらず、行ってみたい場所リストを日々更新中。出張や旅行の際にたずね歩き、インスピレーションの源泉にしているそう。今回たずねた大洲市にある「少彦名神社 参籠殿」もその一つ。懸け造り建築と呼ばれる、現代では希少性の高い工法に関心を寄せた。
Q1 建築に携わることになったルーツとは?
古建築への憧れは少年時代から
好きこそ物の上手なれ、で建築の世界へ。
子どもの頃、父から「家の間取りを考えてみろ」と言われ、初めて実家を建築として見てみたら面白くて…。漠然と将来は建築の道に進むんだろうなと感じ始めました。それから松山工業高校に進学し、古建築研究家として知られる犬伏武彦先生と出会って、今の自分の方向性が決まったように思います。古い建物の測量を経験させてもらったことで古建築に関心を持ち、内子や卯之町の町並みなど、歴史を感じさせる建物をたずね歩くようになりました。例えば同じ江戸時代の建物でも、地域によって使う素材や意匠が異なる点などがとても興味深く、先人の技が息づいた経年の美しさにあこがれを持ちました。
佐川美術館茶室にて。建物の美しい造形に目を奪われる。
Q2 神野さんの考える「いい家」とは?
10年、20年経ったときの姿を愛おしいと思えるか
普遍的な美しさ、経年を寛容に受け止める家をつくる。
家づくりはひとときですが、暮らしはずっと続いていくもの。ですから、飽きのこない、時を経て愛着の増す住空間を理想としています。家自体は奇を衒わずシンプルに表現し、家具などが映えるように。そして無駄を削ぎ落とした引き算のデザイン、古建築から学んだ意匠性で建物が美しく見えるよう「おさまり」のよさを追求しています。新技術は取り入れながらも、日本の建築の原点である木や土、和紙など、自然素材を基本とした家づくりを貫いています。それらの素材は、時を経て味わいを深めていくもの。歳月を重ね、飴色になった無垢の柱を見ると、これまでの家族の思い出がふっと浮かぶような、そんな家づくりをしていきたいですね。
住み手との打合せスケッチには情報がたくさん。
Q3 家づくりにおいて大切にしていることは?
狙いの品質・設計の品質・施工の品質
住み手の想いを引き出し、三位一体の家づくりを。
狙いの品質とは住み手の想いや要望の事。それをしっかりと受け止めた設計を心掛けています。しかし設計が素晴らしいだけではだめで、それ以上に大切なのは施工品質。それが欠けると家は建築として不完全なものになります。現場での工夫や管理が大きく建物の質や美しさに影響します。構造や基礎などお化粧したら見えなくなる部分こそが大事で、当たり前のことを手を抜かず粛々と積み重ねていく造り込みが必要。そして現場で肌で感じるインスピレーションが美しい家を造る秘訣です。本質的にいい家にするため徹底した品質管理をしています。古建築のように長く安心して住み継げる家を目指しています。
出石寺にて。瞬間のインスピレーションで思わずパシャリ。
Profile
1972年松前町生まれ。松山工業高等学校建築学科卒。総合建築設備会社、住宅建材メーカー、建設会社を経て、2005年ワンズスタイル設立。日本自然派住宅研究機構代表理事。一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士、古材施工技術士ほか。演劇の舞台美術も手掛ける。